パエリア国際コンクール・バレンシア
CONCURS INTERNACIONAL DE PAELLA VALENCIANA A SUECA

スペインはバレンシア、このパエリャ発祥の地で61年より半世紀近くに亘り毎年9月第二日曜日にパエリア国際コンクールが開かれている。

マドリードから列車で5時間のバレンシアから南へ30分あまりにスエカ(SUECA)の街があり、スペイン最大のお米の産地だ、
パエリアコンクールはスペイン全国色々な所で開催されているが、
此処スエカのパエリアコンクールは規模も大きく歴史も有り世界的パエリアコンクールである。

実際にはお米の収穫祭(Festival de Arroz)が数日間開催されそのメインイベントとして「国際パエリアコンクール」が行われる。
世界各国のシェフが参加腕を競合う、と言っても殆どがスペイン人。

参加資格はレストランやホテルの従業員であれば何処の国の人でも参加出来る、当時は参加費も無料。

私が参加した時は43組中スペイン人以外では日本人が私を含めて3組だけであった、
日本人が参加しないと交際コンクール成らないっと言うわけでは無いだろうが、日本人を優遇してくれてホテルも二泊用意してくれた。
しかし最近ではスペイン人以外の外人も多く参加する様に成った様だ。

パエリア国際コンクールと言っても、お祭りの様なもので名前から来る堅苦しさは無い、地元のお米の宣伝も兼ねている。

日本でのお米の産地、新潟県の様な所であるが、日本では見られない様な広大な田んぼが有ります。
整然とした日本の田んぼに比べると、かなりラフな作りで所々稲が倒れていたり日本の農家の方が見たら呆れるかも、
それでも規模だけはデカイ。

梅雨もなく乾燥したスペイン・バレンシアで何故稲作が可能なのか不思議に思うが、
バレンシア郊外のスペイン最大の湖、アルブフェラ(albufera)湖から灌漑用の水が引かれているのだ、
高度な灌漑、稲作技術は8世紀アラブ人によってもたらされたと言われている。

因みにスペイン語で「米」Arrozはアラビア語の米Aruzから来たと言われている。

お米の種類はセニア種と呼ばれる日本のお米に近い形の米だが、日本の米とは全く別物と考えてよいと思う。

パエリャコンクールは野外で日本で言うと区役所の庭の様な所で行われたが毎年決まって居るわけではない様だ、
正午12時スタートで制作時間は2時間で有る。

朝晩はかなり涼しい時期であるが日中は40度にも成る炎天下で焚き火で煮炊きをする、(作る方は猛烈に熱い)
薪は特産のバレンシアオレンジの小枝だ、此が本当に良く燃えるのだ手でポキポキと簡単に折る事が出来薪としてはとても便利だ。

燃えると煙が出るのだがその煙がパエリャに好い香りを付けると現地のスペイン人は言うのだが、
私にはスペイン人特有の言いわけに聞こえた。

さしずめ葡萄の産地なら葡萄の小枝になる訳だ、何となく此方の方が良い気がするが?

パエリャの材料は全てコンクール主催者側から支給された物を使う規約になっている。
昔からの伝統的な材料だ。

パエリャの材料
お米(バレンシア米)、鶏肉(丸鳥)、兎(1羽)、カラコレス(カタツムリ24個)、バホカ bajoca(モロッコいんげん)、トマト、ニンニク。

オリーブオイル、パプリカ、サフラン、コロランテ(サフラン色の着色料)、塩。
以上である。
魚介類はご覧の通り全く入らない、魚介類の入るパエリアはもっと海辺の近くやレストランで作られるパエリアだ。
普通は「ミックス パエリャ」 PAELLA MIXTAと呼ばれる。(バレンシア自体は地中海に面しているが。)

パエリア・バレンシアのレシピ(作り方)

パエリア・バレンシア

コンクールで作られたパエリア群
下準備
鳥、兎肉をぶつ切りにして適量の塩を振って置く。
バホカは筋を取り食べやすい大きさに三等分にして置く。
ニンニクはみじん切り、トマト祭りブニョールの トマティ−ナで有名なはバレンシアのトマトは日本のトマトよりはるかに堅いのですり下ろしておく。

大きく底の浅いパエジェーラを水平にするためパエジェーラの代(五徳)に、
パエジェーラを乗せ水を張り水平を確認して水を捨てる。

レシピ
薪に火を付けパエジェーラに平均に火が回る様に薪を調節する、
オリーブオイルを入れニンニク、鳥、兎肉を入れニンニクを焦がさない程度に適度の焼き色を付ける、 バホカを入れあえる、さらにトマト、パプリカを入れてあえる 。

水をお米の1,3倍程度入れカラコレス、味付け用の塩を入れる、
サフランを手でもみ潰しながら入れ、コロランテを好みの色が出る様に入れる。
沸騰したらお米を振り入れ、焼きむらが出来ない様に平らにならす。

お米を入れてから25分程度で水気が無くなる様に火加減を調節しながら炊く(中火)
裏技の紙ぶたをすると良い。

25分たったら五徳を取り炭状になった残り火を平らにしてパエジェーラを直に乗せる、

余分な水分を飛ばし焦げ目を付けて出来上がりである。
ポイント
最後に炭状の残り火にパエジェーラを直に掛けて焦げ目を付けるのと途中の薪の火加減がみそである。

鶏肉やニンニクを炒める時は火加減が強すぎるとパエジェーラがベコベコに変形するので注意が必要、
家庭でパエジェーラ、一つで炒めたり煮炊きする時もあまり強火ですと変形の原因に成ります。

面白パエリア見聞録。
エスパーニヤとはラテン語で兎の国と言う意味があると聞いた事があるが、本当に兎が多いのだ。
スペインのメルカード(市場)でよく見かける兎、此が毛皮を付けそのまま店先にぶる下がっている、

此が我が家の一人息子のペペ(ホルスタイン模様の猫)にそっくりなのだ、
何とも可愛そうな姿だが、その兎がパエリアの具として使われると知った時は焦ってしまった。

到底一人息子の皮をはぐなんて出来ない、だいいち兎の皮をはいだ事など無いのだ、
しょうがない宗教上四つ足の動物は使わない事にしようと言いわけまで考えていたが、

当日の兎は皮をはがれてストリップ状態で出てきた、ほっと一安心した。

パエリア、コンクールにスペイン語はペラペラの友人をアシスタントに頼んでおいたのだが、
コンクールの司会者が話す言葉がコテコテのバレンシア語であったためあまり分からない様だった、
ガリシア、バスク、カタラン、バレンシア語など地方独特の言語あるお国柄、それぞれのお国にプライドを持っているのだ。

ホテルのバルで飲んでいた時も何処から来たと聞くから日本っと言うと日本の何処から来た地震は大丈夫だったかと聞き返す、
日本で知っているのは東京ぐらいと思うが、それでも何処だと聞くのだ、
彼らにとってはマドリー、バルセロナ、バレンシアは同じスペインでも、大げさに言えば日本、韓国、中国の違いがある様だ。
同じスペインでもどこに住んでいる(出身地)かが問題なのだ。

衣装の参加規約には民族衣装、及びレストランの制服着用と有ったが、
私の場合は制服といった所か、
ご覧の様に私以外は皆コックスーツである、正に紅一点になってしまった、
こんだ参加する時は真っ赤な印半纏でも着て行こうか。

地元のテレビ局と国営テレビそれと日本のテレビ局も取材に来ていたが、
地元テレビと国営テレビのインタビューは受けたが、
何故か日本のテレビはカメラさえ向ける事がなかった、(笑)

帰りに乗ったタクシーの運転手がテレビで見たテレビで見たっと私の事を言っていたので、 どうやら地元テレビでは生中継していた様である。

パエリアの審査員は料理人の他、有名人などが居て日本のテレビで行われている何とか料理選手権の様である。
審査発表、祝賀会は大きな会場で出場者及びその家族見学者などと一緒にフルコースの料理を食べながら行われた、
高級品のワインではないが、地元のバレンシアのワインも付いている。

印象に残ったのがデザートのパイナップルとレモンのアイスクリームだ、シャーベットの方が正しいかもしれないが、
パイナップルは日本で見る物よりかなり小さく、レモンはかなりデカイどちらも大人の拳ぐらいだ、
一般的なレモンはティーカップの大きさに合わせて出荷されるので見慣れた大きさだが、本来レモンはかなり大きくなるのだ、
どちらも中身をくりぬきシャーベット状にして詰め戻した物だ、此が結構美味しかった。
CASAでもデザートで作りたいのだが、こんな大きなレモンは手に入らない。

料理の最後にコンクールで作られたパエリアを食べる事が出来たが、
端から順番に盛りつけられているのでどのチームのパエリアかは分からない、
私の所に盛りつけられたはパエリア結構美味しかったが、堅すぎるのやら色々有ったそうだ。

なんせスペイン人の作るパエリアときたら、パエジェーラに相撲の仕切前の様に塩を掴みバーっと振り入れたり、
味見もへったくりも無い、そして此処で使われる水が塩っぱいので有る(海に近い事もあって)、
私自身初めから塩味の有る水で料理などした事が無い、持ち込んだミネラル水と塩を正確に計って作った。

(ミネラル水は硬度の低い物使う、本とは日本のミネラル水を使いたい所)

上のパエリアの写真でも分かるが、彼らのパエリアは絵図らが悪すぎるのだ、スペイン人たちは全く気にしていないが、
何とか成らん物かと思う。絵図らだけで判断すると、まずそうの一言である。


もっとも最近スペインの人気スペイン料理店等は見た目ではフランス料理かと思わせる様な美しい盛り付けが多く成ったが。

スペインで色々な所でパエリアを食べてみたが、中でもアンダルシアのパエリアは最悪であった、
塩っぱくて殆ど食べられなかった、塩を少なくと頼んでも塩っぱい最後は塩を入れないでと頼む羽目になってしまった。

あるレストランでの食事で前菜が美味しかったのでパエリアに注文を付けずに頼んだらスプーン一口で塩っぱくて食べられなかった事もあった、
もっともスペインではパエリアはパンと一緒に食べる事が多いので塩味は強めに付ける分けであるが、それにしても塩っぱい。
アンダルシアに美味い物無しと言った所か。

パエリアに限らずパンも不味い見た目は美味しそうだが喉を通らない最悪、
ビンボーなんてメーカのパンは本当は貧乏人さえ食べ無いのではっと思ってしまう。

もっともハモン、オリーブ、ケソ、ヴィノは別口だが。

そんな分けでバレンシアでも食べ物はあまり期待していなかったが、パエリアもパンもそこそこ美味しかったので食べられた。
その後行ったバルセロナでも食事は食べる事が出来た、ステーキは論外であったが。
食い物の美味さは文化生活程度の高さに比例するのだ、地元のメルカードを覗けば一目瞭然と言った所である。

スペイン料理は素材その物を味合うかガリシアやバスク料理に期待している所である。

バレンシア バレンシア
民族衣装を着たコンパニオンのミスバレンシア(スエカ)から賞状をいただきました。

パエリア・コンクール

パエリアコンクールのスケジュールや参加の問い合わせは此方です。festes@infosueca.com

巨大パエリヤ

こんな風景もスペインならでは。

パエリアTOP

フラメンコ&スペイン料理
▲フラメンコ&スペイン料理